相続した土地を売却する際、相続税を取得費に加算することで、よりお得に売却することができます。相続税を取得費に加算すると売却時の利益(譲渡所得)が減るため、所得税の節税につながるという仕組みです。

相続税の取得費加算とは

相続または遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができます。

(引用)国税庁|相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

取得費加算の特例を受けるためには、以下の条件を満たすことが必要です。

  • 相続や遺贈によって土地を取得した方である
  • 土地を取得した方に相続税が課税されている
  • 取得した土地を、相続開始翌日から相続税申告期限の翌日以後3年以内に譲渡している

取得費加算の計算方法

まず土地売却によって利益(譲渡所得)が出るかどうかを確認します。

譲渡所得=譲渡価額−取得費−譲渡費用

もし相続した土地の取得費が不明の場合、概算取得費(譲渡価額の5%)を用いて計算するため、課される税金が高くなる傾向にあります。譲渡所得がプラスだった場合は所得税が課税されるため、取得費加算の特例を用いて利益を抑えましょう。

前章の条件に該当する方であれば、上記の計算式から取得費に加算する相続税額を差し引くことが可能になります。相続税額の計算方法は以下のとおりです。

取得費に加算する相続税額=相続税額✕(譲渡した相続財産の課税価格÷相続財産の課税価格※債務控除前)

取得費加算の特例の申請方法

取得費加算の特例を利用するには、相続した土地を売却した翌年に確定申告をしましょう。申請書と添付書類を提出する先は、所轄の税務署になります。

必要となる書類は以下の2点です。国税庁のホームページまたは税務署の窓口で取得できます。

  • 譲渡所得の内訳書
  • 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書

申請書には、土地の取得日や取得価額が確認できる資料(売買契約書、登記事項証明書など)を添付する必要があります。事前に準備しておきましょう。

土地売却では不動産と比べて節税できる方法が少ないため、今回ご紹介した取得費加算といった特例を積極的に活用することをおすすめします。