6. 遺産相続の方法 相続放棄、単純承認、限定承認
人が亡くなった場合の相続は、通常「単純承認」という「亡くなった人の財産・債務を丸ごと引き継ぐ」方法によります。しかし、中には「借金がどれくらいあるか分からない」「引き継ぎたくない財産がある」などの理由で、単純承認をしたくない場合もあります。このような場合には、プラスの財産の範囲内でだけマイナスの財産を引き継ぐ「限定承認」で相続する範囲を限定したり、「相続放棄」により相続しない選択をしたりすることができます。

6-1. 単純承認

プラスもマイナスも含めてすべての財産を相続するのが単純承認です。特別な手続きも必要ないためもっとも一般的な相続ですが、注意が必要です。思わぬ負債や借金が見つかった場合、その借金も相続することとなります。

そのため、遺産はどのようなものがあるか、しっかりと相続財産の調査をする必要があります。

6-2. 限定承認

限定承認とは、相続人が相続によって得たプラスの財産を限度としてマイナスの財産を引き継ぐという方法です。単純承認をした場合、被相続人の債務が財産を上回ったら、相続財産でまかないきれない部分については、相続人固有の財産から弁済しなくてはなりません。この負担を避けたい場合、限定承認を行えば、引継ぐ債務を相続財産の範囲内に収めることができます。
ただ、相続人全員の合意が必要であることや事務手続きの煩雑さから、現在は限定承認を行うケースは非常に少ないようです。

6-3. 相続放棄

相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことを一切放棄することをいいます。債務の額が財産の額を上回る場合だけでなく、相続財産に価値や魅力を感じられない場合や事業承継で他の相続人だけに相続させたい場合などに用いられます。限定承認と違い、相続人単独の意思で決めることができます。

6-4. 相続放棄、限定承認は3カ月が期限

相続放棄、限定承認のいずれかを行いたい場合には、被相続人が亡くなって相続することを知った日から3カ月以内に家庭裁判所に申述書を提出しなくてはなりません。この期間を熟慮期間といいます。相続人と遺産の内容を把握して、どのような相続方法を選択するかの判断期間ともいえます。

ただし、期限内に手続きを終えても、相続財産の一部を勝手に使ったり、隠したりした場合には、いずれの手続きも無効となり、自動的に単純承認をしたものとされてしまいます。