3.相続するのは誰か? 相続人の範囲と相続順位
また「誰が遺産を相続するのか」も重要です。日本の相続では「遺言書の有無」が大きく影響しますが、基本的に遺産を相続できるのは法定相続人と受遺者になります。

法定相続人・・・民法で定められた被相続人の配偶者、子ども、両親、兄弟姉妹など
受遺者・・・遺言書によって指定された遺産の受取人
遺言書がある場合と、法定相続(遺言書がない、もしくは遺言書による指定のない財産がある)の場合のケース別で解説します。

3-1. 遺言書がある場合
遺言書がある場合には、原則として遺言書の内容が優先されます。遺言書による遺贈の受取人が指定されている場合には、その受取人(受遺者)が遺産を受け取ることになります。なお、受遺者には、民法で定められた法定相続人だけでなく、それ以外の人を指定することができます(後述する遺留分に注意しましょう)。

3-2. 法定相続の場合
遺言書による指定のない財産がある場合や遺言書そのものがない場合については、民法に従い、法定相続人が遺産を受け取ることになります。

配偶者(法律上の婚姻関係のある配偶者のみ。事実婚や内縁の妻は含まれません)は、常に法定相続人になります。配偶者以外の親族(血族のみ)は、相続する順位が決まっており、相続順位が高い人が相続人となります。

常に相続人:配偶者(妻や夫)
第一順位:直系卑属(子や孫)およびその代襲相続人
第二順位:直系尊属(父母や祖父母)
第三順位:兄弟姉妹およびその代襲相続人
第一順位の子が生きていれば子が相続人になりますが、子がすでに亡くなっており、さらにその子ども(被相続人の孫)がいなければ、第二順位の父母が相続人になります。ただし、先順位の人が1人でもいれば、後順位の人は相続人になれません。また、養子縁組をしている子は実子と同様の扱いとなります。

たとえば、亡くなった方に離婚歴があった場合など法定相続人の範囲が複雑になることもあります。法定相続人の範囲は、亡くなった方の戸籍謄本を集めて確認します。

3-3. 代襲相続とは
「代襲相続人」とは、生きていれば相続権がある人が既に亡くなっている場合に、その地位を引き継いで相続権を持つ人を言います。

代襲相続人になるのは、生きていれば法定相続人になる故人の直系卑属(子や孫、ひ孫)です。第一順位の子がすでに亡くなっていれば孫が、第三順位の兄弟姉妹がなくなっていれば、その子である被相続人の甥や姪が代襲相続人になります。

遺産分割時には、法定相続人が誰なのかを調べる必要があります。ケースによっては、複雑になる可能性もあります。気になる方は「法定相続人とは誰のこと? 対象者の範囲と順位を詳しく解説」をご覧ください。詳しく解説しています。

次に、どのように遺産を分割していくか、相続割合について解説します。